公開シンポジウム「がん患者会の意義と課題」開催

 平成26年9月21日(日)大阪府立成人病センター講堂において、「がん患者会のこと」「ピアサポートのこと」を医療関係者・行政関係者・がん患者団体責任者・一般がん患者・府民ど多くの方々に広く認識していただくことを目的に、開催いたしました。

 その実施報告をいたします。

成人病センターに入院中の患者さんが
会場風景

公開シンポジウム 実施報告書                         

                          大阪がん患者団体協議会 

                          シンポジウム実行委員会
1. 開催日時 平成26年9月21日(日) 13:30~16:30
2. 開催場所 大阪府立成人病センター 講堂
3. 開催目的 がん患者会活動の意義と役割を医療関係者・がん患者団体関係者・

  一般がん患者・府民に広く知ってもらうこと
4. 入場者数 140名
5. 実行委員会 構成メンバー(口腔・咽頭がん患者会、山本孝史のいのち

  のバトン、のぞみの会、ぎんなん、水琴窟の会の各代表者)
6. 協力団体

   11団体(当協議会所属)
   近畿(阪大)がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン
   大阪大学大学院(がん看護高度実践実践看護師コース)有志
7. 参加医療機関 15医療機関
   府立成人病センター、大阪大学医学部附属病院、兵庫医科大 他12医療機関
8. 協力マスメディア(告知記事掲載紙) 産経新聞、読売新聞、朝日新聞
9. プログラム  総合司会:中村弘子(水琴窟の会)
  第1部 基調講演「がん患者会の意義と課題」 兵庫医科大准教授 大松重宏
  第2部 がん患者会事例発表 
      ・がんサポートの会「ぎんなん」 辻恵美子(大阪市立大学病院)
    ・乳がん患者会「のぞみの会」    渡邉美紀(大阪赤十字病院)
          ・「口腔・咽頭がん患者会」   三木祥男(大阪府立成人病センター)
  第3部 パネルディスカッション
     大松重宏(兵庫医科大学社会福祉学)
     松浦成昭(大阪府立成人病センター総長、近畿がんプロフェッショナル

          養成基盤推進プラン事業責任者)
     撫井賀代(大阪府健康つくり課課長)
     がん患者会事例発表者(辻、渡邉、三木)
    ・コーディネーター 山本ゆき(山本孝史のいのちのバトン)
10.支援機関
   共催 近畿がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン
   後援 大阪府、大阪府立成人病センター


11.概況
   会場は定員140名の満席、大盛況でした。
   来場者は医療関係者・がん患者団体役員・一般がん患者が2:1:4の割合

   でした。各分野の方々に万遍なく参加していただき、当シンポジウムの目的

   である「より多くの人にがん患者会の認識を深めていただく」という当初の

   目的は果たせたのではないかと考えております。

   冒頭にに会場の写真を添付しました。
   成人病センターに入院中の患者さんが点滴を受けながら会場にまで来場されま

   した。全く予期しないことでしたが、がん患者の強い思いが伝わる光景でし

   た。
   アンケート調査(回収率50%)によれば、第1部・第2部・第3部いずれ

   も大変好評でした。


 第1部の概要(基調講演)
   初めに、がん患者会の特徴や効用など、世間一般にはあまり知られていない

   ことから入って、先生ご自身がアンケート調査した247団体の概要の紹介

   がありました。
   その中で「ピアサポートとは、お互いに支え合うこと」であり、ピアサポー

   トを提供する人がピアサポートを受領する人と上下関係にあるのではなく、

   対等な関係にあることを強調されました。またピアサポートを受けているう

   ちに、自分自身ががん患者会を意味ある場として認識するようになり、ピ

   アサポーターへ変化するものであることを教えてれました。
   がん患者会の運営上の課題として、次の4点を指摘されました。
    ①人材不足

    ②活動資金の不足

    ③活動内容のマンネリ化

    ④新規会員の減少
  「新規会員の減少」については、「新規な患者が入って来なくなったら、そ

   の患者会は黄色の信号です」という厳しい言葉がありました。
   がん患者会の中での満たされないニーズの例を挙げて、潜在的ニーズを掘り

   起こすことの重要性を指摘され、たとえば再発した人とそうでない人を分け

   て開催するなどの「ピアサポートをシステム化する」という方法があること

   を教えてくれました。
    最後に必要なこととして強調されたことは、がん患者会同士の連携という

   ことでした。
   実績のある患者会のノウハウを他の患者会へ伝授するといった連携により、

   力が倍増する。この点では、障害者の団体に比べると、がん患者会は遅れて

   いるとのご指摘を受けました。
   そして経験から、がん体験者と世話人のそれぞれに具体的アドバイスがあり、

   それを配布資料に書いておいてくださいました。
    障害者領域の活動家からのアドバイスとして、「ピアサポートは活動の中

   で生まれて来るものである。技術や知識ではない。まずそうした活動の場を

   作ってください。皆さんは場の作り方を鍛えて行ってください。」という結

   びの言葉をいただきました。

 

第2部の概要(患者会代表者の発表)
 1. がんサポートの会「ぎんなん」 辻恵美子
  ステージⅣというご自分の乳がんの体験から「自分一人ではない。社会のため

  になることをしよう。」と決意されて、当初は乳がん患者会から始めた経緯を

  話されました。そして待合室の男性がん患者は暗い顔をしていることに気付い

  て、全がん種を対象とする会「ぎんなん」へと発展して行った経緯を話されま

  した。
   また「患者に寄り添う」という方針と「現場を離れて患者会はない」という

  信念の下に、「仲間を裏切らない」「仲間はずれを作らない」「初心を忘れな

  い」「沢山の人を巻き込む」「がんと共に生きる」など会のルールを具体的に

  説明されました。
   最後に活動場所や海外での交流などを写真で紹介していただきました。


 2. 乳がん患者会「のぞみの会」 渡邉美紀
  30数年の歴史のある会ですが、9年ほど前から毎月の定例会には乳がんに関

  わりのある先生方が講師として来てくださり、会報も毎月発行するようになっ

  たそうです。
  会員ががん相談支援センターに「ピアサポートのことを勉強したいので、講演

  をしてほしい」と言いに行ったら、「あなたたちがやっていることがピアサポ

  ートですよ」と言われたというエピソードを話してくれました。
  「有料でピアサポーター育成講座をしているところがあると聞くが、患者には

  上も下もない。」「大阪には60か所の拠点病院があるけれど、そこにがん患

  者会はいくつあるのでしょうか?少ないと思う。」「病院のご都合はいろいろ

  あっても、でも患者は患者会がほしいのです」など、心に残るお話でした。


 3. 「口腔・咽頭がん患者会」 三木祥男
   初めに頭頸部がんは、いつまでも続く障害でQOLの低下が著しい希少がん

  であることを指摘し、それゆえに近畿一円ばかりでなく埼玉県や島根県から新

  幹線に乗ってやって来る人や、茨城県から飛行機で来られる人もいることが紹

  介されました。
   そしてこの9年間の会の出席者の推移をグラフで示し、挫折と復活の歴史を

  話されました。
  2年半前にホームページを開設したことの反響を述べられた。

   現在ピアサポートの充実のために実践している6種類のプログラムについて

  写真を付けて解説されました。
  その中で、一番大切なことは、どんなプログラムを用意するかということであ

  り、専門的ピアサポーターの養成ではないこと、またがん患者自身がピアサポ

  ーターであることなどを指摘されました。

 

第3部の概要(パネルディスカッション) (以下、敬称略)
   全体(第1部・第2部)に対する先生方の感想
 1.(松浦)
   大松先生のお話から、いろいろな課題があることも教えていただいた。

   自分たち医療側の視点からの情報提供が多いと痛感した。やはり患者会の皆

   様を大事にしたい。
 2.(撫井)
   目からウロコだった。コミュニケーション不足を感じる。今後、がん患者当

   事者と医療者と行政で役割分担で隙間のないように取り組んで行きたい。 

   今日出席出来て良かった。
 3.(大松)
   院内の患者会の良さ、地域の患者会の良さ、全がんの患者会の良さ、特定の

   がんに特化した患者会の良さが今日分かった。それにプラスして、病院側と

   どう折り合いをつけて行くかがむつかしいところと思う。

 

  基調講演(第1部)に対するがん患者会代表者の感想
 1.(辻)

  大松先生のお話は、すべて頷けることばかりだった。これからの患者会のこと

  を考えると、今までのありきたりのことではダメだろうと思った。うちでは若

  い患者さんは別にしている。
 2.(渡邉)

  先生のお話のピアサポートのところは、クリアできていると自画自賛している。
  会員に人気があるので、他の会のイベン紹介も取り入れて、会報つくりに力を 

  入れている。
 3.(三木)

  講演の中の「ピアサポートの再構築」に注目している。患者は自ら気が付いて

  自分から元気を取って行く。患者会が元気を与えているのではない。

  「ピアサポートのシステム化」は良いヒントになった。

  医療者は「救える命を救うこと」を。「救われた命を救うこと」は、医療者と

  行政と患者の3者でやって行く必要がある。

 

  途中で撫井課長から国の拠点病院におけるがん患者会・サロンの位置づけ、そ

  れに基づいた大阪府のがん対策の取り組みについてのご説明と、がん相談支援

  センターへのアンケート調査(がん患者支援検討部会実施)の中間報告(スラ

  イドで説明)がありました。(会場から拍手)

 

  この他、下記のような話題が議論され、貴重なご意見やアドバイスを得ること

  ができました。
 (1)患者会同士の連携のこと(患者団体からの見方)
 (2)大松先生の提案(例:協議会全会員のポスターセッション、がん患者学会

    を作っては?)
 (3)医療者と患者会とのあり方について(医療者からの見方)
 (4)患者会に必要なこと(患者団体からの見方)
 (5)患者会立ち上げるにあたってのアドバイス(大松先生、患者代表者から)
 (6)ピアサポーター養成研修について(大松先生から)

 

  まとめ:
   60の国と府の拠点病院のうち、相談支援センターが患者会などと連携して

  いるのは半数に満たない状態です。今後、すべての拠点病院に患者会・サロン

  の設置を進めていかねばならないと思います。

  このイベントを機に、患者・行政・医療者の連携を深めていく必要性を確認で

  きました。


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アンケート調査報告

当日会場にて回収したアンケート票のご報告をいたします。

当日ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

下記のPDFファイルをご覧ください。

各層のご意見の中から、代表的ご意見・感想を掲載しております。
アンケート分析報告書.pdf
PDFファイル 233.3 KB